ちょっと変わったタイトルに惹かれて買った本とCDの話題。
性格がミーハーなのか、タイトルだけ見て衝動買いする悪癖がある。結果、なんじゃこれ、ということも多いのだが、時折、へぇーと、儲かったような気がすることもあります。
【1】「右利きのヘビ仮説 細 将貴著 東海大学出版会 2012/2」
グールドやドーキンスの大フアンだったが、この両巨匠も老いて(グールドは故人となった)、しばらく進化論関係の本を読んでいなかった。しばらくぶりで本屋の進化論のコーナーを見ると、妙なタイトルのこの本があった...つい、購入してしまう。
何を持って「右利」きというのか?
問題のヘビは蝸牛ばかりを食べる〝イワサキセダカヘビ〟。蝸牛(ニッポン・マイマイ)というのは基本的には右巻きの殻を持つものらしい。突然変異で左巻きのものが出来たとしても、交尾が出来ないから子孫を残せないのだそうだ。
ところが、このヘビが棲む西表島と石垣島には左巻きの蝸牛が存在することが分かっていた。何故か?
ここで、著者は「右利きの捕食者(ヘビ)」が居るのではないか、と言う仮説を立てる。「右利き」の意味は、右巻きの蝸牛は食べるが、左巻きの蝸牛は食べない(食べることが出来ない)ということで、このような偏った捕食者が居るために、生殖に不利な左巻き蝸牛が数が少なくても残り得たと言うのだ。
この仮説を立証すべく行った、フィールド・ワークの詳細がこの本で語られている。
たくさんのセダカヘビを苦労しながら集めて、調査の結果、歯列が左右で異なることを突き止め、実際に右巻きと左巻きの蝸牛を食べさせてどんな行動をとるか観察する...悪戦苦闘の日々...その語り口が実に魅力的なのだ。学術的色彩の濃い内容なのだがエンターテイメントのごとくワクワクしながら一気に読んだ。
【2】「アナロゴ山を濡らす R・ロヴィゾーニ&F・メッシーナ/Italy 1979」
イタリアン・プログレッシブ・ロックの探索は依然、続けているが、去年、6枚組のセットを購入した中に、フランチェスコ・メッシーナというアーティストのCDがあった。Medio Occidente と言うアルバムで、これがいたく気に入った。そこで、F.メッシーナの音楽をもっと聴いてみたいと思い、アマゾンで検索してみると、ただ一枚、このタイトルのCDが出てきた。〝アナロゴ山を濡らす〟...なんとなく妙な感覚のタイトルに、どうかと思ったが、購入してみた。
聴いてみて驚く。まず、冒頭に「ツーーー」と長く続く無機質な音が入り、その後二分間の沈黙。そしてそこから、遙か遠くに、懐かしさを感じさせるムーグの音が低レベルで流れ、そして、ピアノがポロン、ポロロロンと、分散和音で雨が落ちる音を模したように響かせる。このピアノのポロン、ポロロロンが高く低く、また微妙な変化をしながら二十分ほど続く。背後に静かに流れる単音のムーグとの絡み合いがとても気持ちがよい。
メッシーナは実験音楽を指向しているアーティストだという情報もあるが、この「アナロゴ山を濡らす」は〝環境音楽〟のジャンルに属すだろう。前述の「Medio Occidente」とは、毛色がかなり異なるので、若干面食らったが、いずれも音楽(音響?)そのものは分かりやすく、親しみやすい、と言うのが私の印象です。
ところで、この「アナロゴ山」と言うのは、どんな山で、何処に存在するのだろうか?気になって仕方がない!
Raul Lovisoni/Francesco Messina 〝Prati bagnati del monte Analogo(1979)〟
二人の共作アルバムだが、タイトル曲はメッシーナ作
日本語訳「アナロゴ山を濡らす」は、もっと工夫があっても良かった?
Francesco Messina 〝Medio Occidente(1983)〟