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2006年5月30日 (火)

スペイン旅行記9―エストレマドゥーラの旅

5月11日、ツアーは後半、エストレマドゥーラ地方に入った。
スペインの西端、ポルトガルと接する位置にあるエストレマドゥーラの語源は「ドゥエロ川の彼方」。スペインの大半を失ったキリスト教徒の戦士たちが、イスラム教徒とこの川を挟んで対峙した故事に由来する。戦線をドゥエロ川の彼方へ押し戻すことが悲願だった。そしてレコンキスタ(国土回復戦争)の最も勇敢な戦士たちをこの地域から輩出し、とりわけナスル王朝グラナダ王国に対する攻撃の主力となったという。
レコンキスタ後、彼らは余勢を駆って新大陸へ進出した、という経緯はここへ来て改めて理解できた。メキシコ征服のコルテス、ペルー征服のピサロはこの地域の出身である。

ツアーは、(セビーリャ)→メリダ→カセレス→トルヒーリョ(泊)→グアダルーペと周った。
ここではとりわけ印象の強かったトルヒーリョとグアダルーペについて記したい。

トルヒーリョには夕方着いた。宿はパラドール・デ・トルヒーリョ。旧サンタ・クララ女子修道院を改装したものである。石造りの回廊を、かつての修道女の居室が取り囲む。添乗員が「お仕置きの部屋になるかもしれませんよ」などと冗談を言いながら部屋割りをしてくれる。私の部屋は2階。石畳の回廊から木製の扉を開けると、1段低い位置にやはり石敷きの広々とした居室が広がる。窓は小さく、がっしりとした鉄格子がついている。正に修道院の部屋そのものだが、ベッドや浴室・トイレは最新の設備で何不自由もなかった。夕食はホテルのレストランだったが、ちょっとした講堂ぐらいの広さがある元修道院食堂である。
カナッペ→マッシュルームのキッチュ→白身魚のグリル→イチジクのクリームケーキ。
翌日は朝8時半からトルヒーリョの観光に出かける。まず、街の中心マヨール広場へ。大きな建物の屋根の上には必ずと言っていいほど、コウノトリが巣を作っている。鶴ぐらいの大きさがあるから空を舞うと見栄えがする。広場の北側のゴシック式のサン・マルティン教会を背に騎馬像がある。大航海時代のコンキスタドーレ(征服者)を代表するフランシスコ・ピサロである。この街の出身ということを知って眺めると、像が生き生きとしてくるから不思議です。
広場から、イスラム教徒が築いた城の名残がある丘の頂上に登ると、エストレマドゥーラの荒涼とした大地が何処までも広がっているのが見渡せる。

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パラドール・デ・トルヒーリョの入り口
旧女子修道院のたたずまいそのままです



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私の居室  とても広くて設備・調度品も立派




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街の中心マヨール広場にある
フランシスコ・ピサロの騎馬像
この街が産んだ英雄です


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城跡の丘から見るエストレマドゥーラの大地




トルヒーリョから1時間余りでグアダルーペに着いた。
グアダルーペは、コロンブス、コルテス、ピサロを始めとする征服者たち(コンキスタドーレス)の信仰上の拠点だったところである。「全スペイン世界の守護聖母」がグアダルーペ王立修道院に祀られているのだ。早速、修道院に入る。
・・・1320年、一人の羊飼いが迷い羊を探していると、聖母マリアからお告げを受け、地面を掘ったところ黒いマリア像を発見。1340年、このマリア像に加護を祈願した直後にモーロ(イスラム)軍を破ったアルフォンソ11世は、壮大な修道院を造らせ、ヒエロニスム会修道士たちの手にゆだねた。その後修道院は聖母マリア崇拝の中心地となり、コロンブスがカリブ海の島をグアダルーペの聖母に奉納してからは、新大陸キリスト教化の象徴とされてきた。・・・
建物はゴシックとムデーハル様式が混在している。聖衣展示室や15世紀のグレゴリオ聖歌の巨大な楽譜(重さ60Kg、移動用台車付き)、ムデーハル様式の中庭を見て、聖具室に入ると壁一面にスルバランの11点の絵画が掛けられている。黒い僧衣をまとった修道士を一人ずつ描いた絵が多いが、これらに囲まれていると、敬虔な気分になる。このほかに「聖ヒエロニムスの誘惑」などもある。
巨大な修道院の中の教会部分に問題の聖母像が祀られているのだが、その裏手の部分にカマリンと呼ばれる小聖堂がある。豪華な装飾が施されたこの部屋は玉座の控えの間にあたり、巡礼者たちはここで聖母像に真近に会うことが出来る仕掛けになっている。というのは、驚いたことに「黒いマリア像」がぐるりと180度回転するのである。実際に対面できるスペースは1坪ほど、我々は数人ずつ順番に拝ませていただいた。

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グアダルーペ王立修道院
ゴシックとムデーハルの混合様式
内部には見所がたくさんある


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ムデーハル様式の中庭回廊




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大きな中庭の中央には小さな聖堂が置かれている
とても変わった形をしている



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黒い聖母マリア像
写真撮影不可「だから絵葉書で
巡礼者は聖母像のマントの円形の浮き彫りに
接吻を捧げる






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聖具室に掛けられたスルバランの絵の1枚
「The Father Carrion」

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