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2006年6月23日 (金)

究極の交響曲

私は音楽ファンだと思っています。音楽通でもないし、音楽マニアでもない。その時々で聴きたいと思った音楽を、ジャンルを問わず気ままに聴いている。クラシックに関しては、若い頃は義務のようにあれもこれも聴いていた。決して楽しいとは感じなかった。そのうち、ジャズやロックの方に関心が移ってしまい、クラシックにはあまり熱心でなくなってしまった。そんな中でもずっと聞き続けているのが、ブルックナーの交響曲です。

ブルックナーに最初に出会ったのは、20年ぐらい前だったろうか。会社の同僚Tさんの家にレコードを聴きに行った時、帰りにお土産にもらったのがブルックナーの交響曲5番でした。彼は筋金入りのクラシック通で、ライブラリにはほとんど無いものが無いくらいでしたが、全く同じレコードを2枚買ってしまったとのことで私にくれたのです。
彼もあまり聴かない盤だったらしく、特にコメントも無く、私も1回聴いただけで、お蔵入りにしてしまっていました。ブルックナーの交響曲と言えば、当時は(今も?)4番が最もポピュラーで、ほとんどこれしか聴いたことがなかった。
その後、ブルックナーに注目するようになったのは、音楽評論家で自分でも指揮を執る宇野功芳氏のブルックナー交響曲の奨めを読んでからです。1~9番まで宇野氏の解説を念頭に繰り返し聞きました。彼が言うようにブルックナーの緩徐楽章はたとえようも無い魅力に溢れていると感じました。それ以来虜になってしまったのです。

もうひとつ関わりがあるのはワーグナーです。「ニーベルンゲンの指輪」全編ををNHKで放送した時に見て、それ以来、ワーグナーのファンになってしまった。そして、ワーグナーの近代的和声法と管弦楽法を踏襲しているのがブルックナーなのです。
交響曲3番はワーグナーに捧げられたから通称「ワーグナー」だし、7番はワーグナーへのレクェームとして作曲されています。そういう理由もあるが、私はこの2曲を特に愛します。とりわけ7番が好きで、今でも繰り返し聴きます。聴き慣れたせいか宇野氏推薦のマタチッチの盤が良く、私のCDコレクションの最も大切な1枚となった。

ブルックナーを知るきっかけとなった5番は宇野氏によると、最も初心者にはとっつきにくいが、聴きこんだ人には無上の感動を与えてくれると言う。私はそこまでは行っていない、というか好みの問題だと自分では思っている。たまたま一昨年の10月に「パリ10日間」というツアーに参加した際、時間があったので、一人でパリ管弦楽団の演奏会に出かけた。このときの演奏曲目がブルックナーの交響曲5番であった。ラジオ放送のための収録も合わせてやっていたせいもあり、緊張感のあるよい演奏でした。そして7番の生演奏をいずれ聴きたいものだとの思いが募ってきたのでした。

ところで、前にとり上げた石原俊氏の「オーディオ粋道入門」を読んで、驚いたというか納得したことがあります。交響楽団の究極の目的はブルックナーの交響曲を演奏することだ、とNHK交響楽団の茂木氏がエッセーで書いており、石原氏もオーディオ装置の究極の目標はブルックナーの交響曲を鳴らすことだと宣言しておられるのです。
何故、ベートーベンでもマーラーでもないのか?いろいろな要素をあげられていますが、オーディオの観点から次のように集約されています。
①交響曲として理論的にキッチリと出来ていながら構造が複雑でオーディオ装置に対して高い解像度を求める。②最強音から最弱音までの幅が広いからオーディオ装置に広大なダイナミックレンジを求める。③演奏時間が長く、それでいてサウンドが渋いから、長時間にわたって聴き続けても飽きないサウンドをオーディオ装置に求める。④ブルックナーの交響曲は宗教曲のような純粋さを持つから、上手く鳴らすためにはオーディオ装置のテクニックもさりながら、オーナーのメンタルな部分が大切である。
最後の④がとても面白い。ここまで行けば正に「粋(イキ)」のレベルですね。

Photo_43
マタチッチの遺産3
ブルックナー交響曲第7番
ロブロ・フォン・マタチッチ指揮
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

Photo_44
パリ管弦楽団定期演奏会プログラム
2004/10/6  モガドール劇場
ブルックナー交響曲第5番
指揮 Marek Janowski

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