« テレビは21世紀後半の絵画と考えられないだろうか?・・・ブライアン・イーノ | トップページ | 真夏の1日…ウォータンの暑さ対策は? »

2006年8月 2日 (水)

ブライアン・イーノ…環境音楽から光のアートへ

ブライアン・イーノについて、ある紹介文には、「講師、視覚的アーティスト、作家、政治活動家、未来科学者、そして音楽家、と、多様な顔を持つ」と書かれていました。そこまで多彩な活動をしているとは私も知らなかった。
それでは音楽家として、つまりロック・アーティストとしては、どの位置に居るのだろうか?大きくはプログレッシブ・ロックに括られるか、その延長線上だろうと思うのだが、「UK Progressive Rock / Mainstream The Golden Era」ではアヴァンギャルド系という名称を与えている。これは実に的確な分類と言えましょう。

ロキシー・ミュージックから独立して以来、常に実験的な音楽作りで他のロックアーティストとは一線を画していたから。そしてその実験の中で「環境音楽(アンビエント・ミュージック)」という新分野を創始したのですから。

彼が環境音楽を初めて提唱したのは、1,975年のことで、交通事故に遭った経験がヒントになったとされている。また、彼は現代音楽にも関心を持っていて、実際に演奏活動も行なっているが、エリック・サティ(Erik Satie)の「家具としての音楽」から、環境音楽の考え方に、影響を受けたと、イーノ自身が語っている。

実際の方向はサティと異なっていて、イーノの環境音楽では、音楽が周囲の雰囲気を積極的に定義付ける、もっと言えば、記念碑に付随するような音楽であり、何らかのモニュメントとそこに流れる音楽が周囲の雰囲気を決定する。その音楽はその場所に行かねば聴くことが出来ない、というものであった。したがって、当初は環境音楽は音楽のジャンルというより音楽の作曲・使用方法に関する思想であった。(この部分はフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』を引用しました)

イーノの環境音楽の代表作といえる「Ambient 1ミュージック・フォア・エアポーツ(1,978)」は、聴き込む事も出来れば、環境の中で無視することもできる音楽を意図して作られた。この音楽は、実際に、ニューヨークのラガーディア空港でバックグラウンド・ミュージックとして使われたという。
これを実現するために使われているのは、非計画性、偶発性、自動生成(自動演奏)をキーワードとする手法です。例えば上記アルバムの2曲目は透き通った3人の女性コーラスだけで構成されているが、

7つの音程を1つずつノンヴィブラートで5秒間歌い、無音の部分を加え、1音に付き20~30秒のテープループにし、7本のテープを7台のテープレコーダでひたすら繰り返して出来ている。7本のテープは全部長さが違うから、定率的なリズムが成立することは無い。それでいて、ゆったりとした波の干渉が描き出す半ば偶然のメロディーとハーモニーが、恐ろしく心地よいのです。

イーノは次のような体験談も語っている。元は4つのパートをぴったりと同期させて再生するように出来ている無限音楽のテープ4つのそれぞれ最後に長さの違う無音部分を加えて、4つの別のテープデッキで延々と再生していたところ、ある瞬間に
Dolly Partonのよく知っているメロディーが浮かび上がり、作業中のスタッフ一同が大いに驚いた。(実際にはもっと手が込んでいるようですが簡略に書いた)


77 Million Paintings」は、基本的にこの音楽での試みがアートに適用されていると考えてもよさそうです。「77 Million Paintings」に添付のブックレットには、光のアートへの取り組みについてのイーノ自身の長めの文章「My Light Years」が掲載されている。
それによると、彼は10代の終わりごろ、音を奏で始めたのとほぼ同時に光を操り出したようで、ライト・ディスプレー作品で特許をとりパブなどの憩いの場で、人々を夢中にさせようと、考えていた。
しかし、歴史的に音に比べて光のコントロールは難しかったので、試行錯誤だったようです。
1,978
年のこと、使い古しのビデオ機材を譲り受けたのを機に、ビデオ・アートを作ってみようと、撮影を始めたが、機器が巨大過ぎるし、下がカーブしていて三脚がないと設置も出来ない、仕方が無いので横に寝かせて撮影した。自宅でテレビで再生すると、画像は当然横向きになり、全く理解できない映像だった。ところが、再生しているところへ訪ねてきた人々が、とても興味深げに集中して見ている。

このとき、テレビ(ビデオ)が絵画としての可能性があることに気が付いたという。

80年代に入り、「ビデオ・ペインティング・ショー」に打ち込み始め、イーノはビデオ・アーティストになった。スクリーンや建物に映像をプロジェクターで映し出すものは当然だが、文字通りテレビを光を出す装置として使う試みも数多く行なっている。

そして自然な流れとして現代美術の1ジャンル「インスタレーション場所や空間全体を作品として体験させる芸術」に傾斜して行った。

このような活動を行なうに際してソニーがかなり協力しているようです。
77 Million Paintings」は、これまでのインスタレーション作品とスクリーンをベースとした作品の集大成である、とイーノは言っている。

長々と書いてしまったが、それは、ブライアン・イーノの活動を見ていて次のような点にとても感嘆したからです。

①音楽とアート(絵画)の間を自由に行き来していて、私たちにもその垣根が意外と低いことを教えてくれる。

②アートの自動生成という私にとって驚きの手法を実践している。

最後に、私の持っているブライアン・イーノのCD3枚のジャケットを添付しましょう。

Greenworld

アナザー・グリーン・ワールド(1,975)





Ambient1
アンビエント1

ミュージック・フォー・エアポーツ(1,978)





Dayonearth
アナザー・デイ・オン・アース(2,005)








|

« テレビは21世紀後半の絵画と考えられないだろうか?・・・ブライアン・イーノ | トップページ | 真夏の1日…ウォータンの暑さ対策は? »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/172334/11226753

この記事へのトラックバック一覧です: ブライアン・イーノ…環境音楽から光のアートへ:

« テレビは21世紀後半の絵画と考えられないだろうか?・・・ブライアン・イーノ | トップページ | 真夏の1日…ウォータンの暑さ対策は? »