« 交換レンズ「シグマ30mmF1.4」の試し撮り | トップページ | 風猛山粉河寺(かざらきさん こかわでら)・・・西国三十三箇所巡り第3番札所 »

2006年10月14日 (土)

地中海古代ブロンズの謎(1)・・・朝カル受講記録

朝日カルチャーセンターの10月新講座「地中海古代ブロンズの謎」の第1回があった。講師は国立西洋美術館リサーチフェローの羽田氏。

私は美術に関しては、定年退職後の俄かファンである。ヨーロッパへ5回ほど旅行したが、その都度、美術館を巡り、多くの名画を見ているうちに、自分が美術が嫌いではないことに気がついたのです。そこで、少しでも理解を深めようと、美術関係の講座を積極的に受けるようになった。

しかしながら、絵画は良いとして、彫刻やブロンズにはあまり惹かれることは無かったのですが、昨年の愛地球博のイタリア館に展示されたブロンズ「踊るサテュロス」を見てから、意識が変わってしまった。

このサテュロスに限らず、古代ブロンズは絵画に比べて年代がうんと古いにもかかわらず、素晴らしい芸術性があること、それに加えて発見過程や、何処にあったか、何を表現するかについてよく分かっていない場合が多いことなど、大いにロマンを感じさせるのですね。

今回の講座は、幾つかのブロンズに焦点を当て、これまでの研究によって明らかにされた(推測された)ことを紹介してくれるという、とても魅力的な内容になっています。
講義の予定は次のとおり。

第1回;代表的な古代ブロンズ80点概観

第2回;製作技術を中心に―「マザーラのサテュロス」「リアーチェの戦士」

第3回;二大難破船を中心に―「アンティキュテーラの青年/哲学者群像断片」「マラディアのエロース/ヘルメース柱」

第4回;馬を中心に―「アルテーミオンのゼウス/馬とジョッキー」「デルフォイの馬車群像断片」「サン・マルコの馬」「マルクス・アウレーリウス騎馬像」他

第5回;現在ローマにある作品を中心に―「クィリナーレの拳闘士/君主」「カピトリーノのスピナーリオ(棘を抜く少年)」「テヴェレのバックス」他

第6回;女性像を中心に―「ペイライエウスのアポッローン/アテーナー/アルテミス」「アゴラーのニーケー頭部」「ロドスの眠るエロース」他

【注】「○○の××」という表記の○○は発見された土地名である。

今回は、紀元前6世紀から紀元5世紀頃の代表的なブロンズを概観するということで、約40点について簡単な紹介があった。

講師は古代ブロンズで文学博士号(東大)をとっており、ローマの大学にも客員研究員として在籍して研究を行なってきた、ブロンズの専門家である。11月には著書「古代ギリシャのブロンズ彫刻―総合推論のために」が発売されるが、これは日本語で書かれた唯一の概説書であるとのこと。
それぞれの古代ブロンズは、失われている部分が多いし、本来置かれていた場所から移動されている場合が多い。氏は、それぞれのブロンズについて、製作手法とか素材などの研究に基づき、本来はどういう作品で、いかなる歴史をたどったかを推論されている。

次回以降、詳しい話がある予定だが、例えば、イタリアのマザーラの海で見つかった「踊るサテュラス」にしても、踊っていたのではなく、髪を捉まれて這いつくばっていた可能性があるという。しかも、そうであれば一体だけの作品でなく、群像の一部だったかもしれない、という。

古代ギリシャで発達したブロンズ像の見事な芸術性は、像を幾つもの部分にわけ、分鋳し、溶接するという、表現の自由度の高い手法をとっていることによるようだ。他にも制作上の技術には興味ある要素があるようで、これも次回以降、解説がある予定です。

Photo_71 踊るサテュロス
昨年、愛知万博のイタリア館に展示された。
1998年シチリア、マザーラ・デル・ヴァッロ沖で発見。




Photo_72
デルフォイの御者
古代ギリシャ・ブロンズの傑作のひとつ。









|

« 交換レンズ「シグマ30mmF1.4」の試し撮り | トップページ | 風猛山粉河寺(かざらきさん こかわでら)・・・西国三十三箇所巡り第3番札所 »

コメント

ご受講ありがとうございました。
大変遅くなりましたが,拙著『古代ギリシアのブロンズ彫刻──総合的推論のために』(東信堂世界美術双書13)がようやく先月(2008/5)刊行されました。ご覧いただければ幸甚です。

投稿: 羽田康一 | 2008年6月26日 (木) 11時03分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/172334/12275853

この記事へのトラックバック一覧です: 地中海古代ブロンズの謎(1)・・・朝カル受講記録:

« 交換レンズ「シグマ30mmF1.4」の試し撮り | トップページ | 風猛山粉河寺(かざらきさん こかわでら)・・・西国三十三箇所巡り第3番札所 »