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2006年12月18日 (月)

インド旅行の印象その9(エローラ)

石窟寺院が続く。エローラ。西インド、アウランガーバードの北西25kmの、なだらかな丘陵の麓に2kmにわたって、仏教、ヒンドゥー教、ジャイナ教の石窟が並ぶ大規模な遺跡である。全部で34窟。1~12が仏教(7~8世紀)、13~29がヒンドゥー教(6~9世紀)、30~34はジャイナ教(9世紀)である。1983年世界遺産登録。

現地ガイドはK.カーン氏だった。彼は「河童が覗いたインド」の妹尾氏も案内した大物ガイドである。「・・・でございます」が口癖だと、妹尾氏は書いているが、とても流暢な日本語になっていた。大物ぶりは、他の観光客がいなくなった隙に、現場監視員に目配せして、ガイド内でもあまり知られていない特別のポイントに我々を連れて行き、紹介してくれたりすることで分かった。
ガイドによる見学は、第10、12窟(仏教)、第16窟(ヒンドゥー教)、第32窟(ジャイナ教)だったが、何と言っても、エローラのハイライトは第16窟のカイラーサナータ寺院である。

カイラーサナータ寺院は、ラーシュトラクータ朝盛期(8~9世紀)の岩石寺院(石窟ではない)で、幅45m強、奥行85m弱にわたって岩山を削り取り、楼門、ナンディン牛堂、前殿、本殿(高さ30m)を彫りだし、しかも周囲の岸壁に回廊や付属の石窟を彫っていて、その規模の点でも彫刻の作柄の点でもほかに比類がない。寺全体が奇跡の彫刻である。(以上は、平凡社百科事典より)

カイラーサとは、ヒマラヤを意味し、シヴァ神が瞑想した聖なる山のこと。着工は奈良の大仏と同じ頃、757年だが、完成までに200年かかったと言う。今は痕跡をほとんどとどめないが、当時は極彩色に彩られていたという。

第12窟は珍しい3階建ての石窟である。僧坊として造られたものという。太い柱が建ち並ぶ様子など、建築構造的にも興味が湧く。
第32窟を見学中、テレビ番組「DISCOVERY」のクルーと出合った。ドイツ旅行中にやはりテレビ番組クルーからインタビューを受けたことがあり、一瞬、ひやりとしたが、何事も無く立ち去った。

昼食は谷を隔ててエローラ石窟群を見渡せるレストランの芝庭で摂った。何を食べたか忘れてしまったが、日なたにあるテーブル席なのに、暑くなく、むしろ風がとても気持ちよく、ビールがとてつもなく美味しかったことを鮮明に覚えている。

エローラを後にして、残りの時間をアウランガーバード市内の観光に費やした。アウランガーバードはムンバイから東へ350kmのデカン高原の只中にある。人口68万人。アジャンタ、エローラの観光拠点となっている。市内にも見るべきものが結構あるようだ。
そのうちの、ビービー・カ・マクバラーという妙な名のところへ行った。
これは、1678年にアウラングゼーブ帝(街の名の由来でもある)の息子アザム・シャーが母のラビア・ドゥラーンを偲んで建てた廟である。タージ・マハルをモデルにしているが、国の財政が傾いていた(タージの建設で)ため、大理石を全面的に使えず、墓標の周りと、ドームの部分だけにとどめている。後は石材の上に漆喰を塗って装飾した。
そういうわけで、形こそ似ているが、タージのような輝く白さは無く、大幅に見劣りするのです。インドの人々からは、「貧乏タージ」とか、「悪しき物まね」と、言われる始末。
庭園もタージには見劣りするが、なかなか立派だった。ふと、庭園を見ると、大きなマンゴの木に美しいサリーを来た若い女性が登っているではないか。これは絵になると、200mm望遠を向けたが、あっという間に降りてきてしまった。

ホテルに着いてから、夕食までの間、みんなで、近くのバザールへ行ってみた。がたがたで、ゴミがいっぱいあり、ごちゃごちゃした道を通って。小さなスーパーでお菓子などを買い、露店の果物屋でオレンジを買い・・・

ホテルの夕食には、初めてタンドリチキンが出た。チットモ辛くなく、なかなかうまかった。

この日も、充実した1日だった。

S0079妹尾氏の『河童が覗いたインド』に出てくるガイド、カーン氏が
我々のエローラのガイドも勤めた。
迫力満点!

 
S0048エローラ石窟群。右奥から第1窟、第2窟・・・の順。




S0049 S0046第10窟。
ストゥーパの前に仏像がある。時代が下った証拠。左右に観音菩薩と文殊菩薩を従える。天井は木造を模した作り。S0055
第12窟は3階建て。僧坊としての機能を持つ。




下は、第10窟カイラーサナータ寺院。左から、寺院のプラン図、楼門、ナンディー堂、本堂の順である。壁の文字の彫刻は叙事詩「ラーマーヤナ」。全体の平面プランは馬車の、くびき―梶棒―座席を表現していると言うのだが。入り口に馬をつけて、寺全体を引いて行くという感じ。
Photo_117S0058S0061S0059





 




S0074_1 S0075
第32窟はジャイナ教寺院。
ジャイナ教には、神、女神はおらず、24人の使徒がいる。
女性像が幾つかあるが、アーモンドの木の下は“力”、マンゴーの木の下は“富み”を表わす。




S0078_1 S_0081 ビー・ビー・マクバラー。
タージと比較するのは可哀想。



S0080見つけたときは、二人とももう一段高いところに居た。
巨木はマンゴーの木。南インドには、若い女性がマンゴーの木を揺すると、たちまち実を結ぶという言い伝えがあるそうだ。
サンチーの東塔門の「マンゴーの樹を揺するラクシュミ」を髣髴とさせる。

S0942S932アウランガーバード市内点景。
左はバザーに行く途中、路地裏で見た羊を番する女。
右は、リクシャーの群れが客待ちをする表通り。
この混沌さが面白い。

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