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2006年12月17日 (日)

インド旅行の印象その8(ムンバイ=ボンベイ)

まだ、半分も行っていない。ここからは、時系列的につぶして行こう。
先ず、初日のムンバイ。旧名ボンベイ。
ムンバイは、アラビア海に突き出た半島部分にある。ずっと寒村に過ぎなかったが、1534年にポルトガルが当地を抑えていたスルタンから取得してから歴史は動く。1661年には英国に(贈り物として)委譲、更には68年には東インド会社に年10ポンドで貸し出された。同社は本拠をここに移し、それから大きな発展が始まった。現在の人口は1000万人を超え、インド第二の大都市に成長した。
永らく、ポルトガル語のボン・バイア(良港)に由来するボンベイの名で呼ばれてきたが、1995年に、より古いインドの地名のムンバイ(パールバーティ女神の化身ムンバにちなむ)に改称された。

朝8時半に、最初の観光スポット、インド門に着く。植民地インドの象徴である。
インド門の裏は船着場で、早朝にもかかわらず、大勢の観光客が、エレファンタ島行きの船を待っていた。目指す島まで約1時間。海は濁っていたが、風がとても心地よかった。
エレファンタ島には、世界遺産(1986年登録)の石窟群がある。6~8世紀のものである。16世紀にポルトガル人が始めて上陸した時、石窟群の前に巨大な象の石彫を発見、島の名の由来となった。
200mの岩山の頂上付近にあるから、駕篭かきがいて、我々の仲間も利用していた。第1窟の一番奥まったところにある巨大なシヴァ三面上半身像はヒンドゥー教彫刻の最高傑作のひとつと言われるが、暗くてキチンと写真を撮ることが出来なかったのが残念であった。(実はニコンの操作をマスターしておらず、咄嗟にASA感度の変更が出来なかったのです)
ここに限らず、石窟の場合は照明は皆無、入り口からの自然光だけだから、芸術鑑賞と言うには程遠い。雰囲気を掴むのにはよいのだが。

エレファンタ島の観光後、ムンバイ市内に戻り、プリンス・オブ・ウェールズ博物館を訪れた。大きな椰子の木がある素晴らしい庭園を備えた、インド・サラセン調の優雅な建物を見るだけでも価値があるが、所蔵品もとてもよかった。
何よりも嬉しかったのは、この博物館が、ムガル、ラージプート両派の細密画のコレクションで有名だったことである。カルチャーセンターでインド美術の講義を受けて以来、インドの細密画に魅せられてしまい、このツアーでも期待していたからです。
ここはイヤホンによるオーディオ・ガイド・システムが導入されているので、我々のガイドの説明は無く、各自自由に見ることとなった。私は、当然の如く、制限時間の90%は細密画を見ていた。どれも優美で絵の主題も多様で実に面白く、とても有意義な時間であった。
なお、ムガル細密画は、文字通り、ムガル帝国時代にペルシャの細密画を完全に吸収し、インド独特のものにしたものである。ある出来事の中の肖像画、群像肖像画が多く、顔は必ず横向きで面貌が特に緻密に描かれる。
ラージプートの方は、ムガル細密画の影響は濃く受けているが、主題が全く異なる。こちらはヒンドゥー教の信仰に関するものが描かれ、特に画家に好まれたのは若くて美しい牛使いクリュシナの恋である。
旅行中に模造品でいいから手に入れたいと思っていたが、各地を回るうちに、ホテルのショップや、ちょっと立派な土産屋には、アンティークの細密画があることが分かってきた。
表立って並べてないのだが、あるか?と、聞くと、おもむろに奥から取り出してくるのです。
値段はピンからキリまで。絵の緻密さ、主題、汚れ具合、芸術的価値などによるらしい。1~2万円ぐらいで、と思っていたが、なかなか自分の好みに合わない。
旅も後半に入って、ようやく値段と好みに合致するものがあり、購入できた。最初の店の値段は100ドルでビタ1文(セント?)まけられないと言う。他のものを見ながら80ドルなら買うと言うが、敵は強硬。普通は10%や20%はまけるのに、珍しいことだ。粘っているところへ我々の現地ガイドがやってきて助け舟を出してくれ、90ドルで落とすことが出来た。典型的なムガル細密画である。結構汚れがあるし、裏にも読めない文字がたくさん書いてあり、アンティークであることは間違いない。絵柄もとても緻密で、これなら文句はない。

ムンバイは現代の都市としての魅力もあり、ここに数日滞在できればきっと面白いだろう。しかしこのツアーでは、博物館を見た後、すぐに空港へ。内陸のアウランガーバードに向かう国内線の飛行機に乗った。
国内線のセキュリティ・チェックはとても厳しい。液体と電池は一切、機内へ持ち込めないし、手荷物は全部開けて調べられる。身体検査も徹底している。当然の如く飛行機は大幅に遅れる。

034 00390035朝8時半のインド門。英国王ジョージ5世(つまりインド皇帝)来印記念として1911年に建立。インド門の横の建物は1903年建築の“アジアの星”タージ・マハール・ホテル。

Photo Photo_116 10898エレファンタ島の桟橋。
120段の階段は駕籠に乗って。右は第1窟の入り口。高さ6m、広さ40m四方。

S0904899左は第1窟の内部の様子。
シヴァ神の像が幾つもあるが、これはそのうちの一つ。
足や手が無残にも取れているが、これは発見当時に、ポルトガル兵が鉄砲で撃って破壊したもの。ほとんどの像がやられている。

0906S0926ムンバイ市内は30度を軽く越していた。樹木の茂り方は異常なほど。ほぼ熱帯に位置するから当然か。
右はプリンス・オブ・ウエールズ博物館。
インド・サラセン調の建築も、大きな椰子の木がある庭園も共に素晴らしい。

S0909F0910インドが誇る細密画。この2点は名品中の名品。
左はMeeting of  Rama & Parashurama。
右はNahr Singh in Zenana。

S0912S_23 優美かつ面白い作品が目白押し。興味が尽きない。
全てガラスケースの中にあるので、写真が上手く撮れないのが残念だった。



S_24 
これは私が購入したムガル細密画。
典型的な肖像画スタイル。
20cm×12.5cm。当然ながら博物館のものよりかなり小振りである。





細密画以外にも名品多数。

Matrikas0924S0907左はMatrika(Mother Goddess)from a set of Astmarika
右は博物館のエンタランスの最も近くに置いてあるガネーシャ像。この神は障害を除去し、福をもたらすとされ、ヒンズー教徒に最も篤く信仰される。以後、至るところでお目にかかることになる。

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コメント

がらくた日記拝見致しました。ムンバイ懐かしいです。
小生も細密画が好きでよく集めていました。
購入された細密画美しいですね。絵は近年のものですが、使用されている紙は多少古いです。購入された金額が100ドル程度ですので高くはないですね。本物はムンバイよりもラジャスタンの主要都市に行きますと小品が手に入ります(ラジプート画、タントラ系統)。

投稿: なかなか | 2014年10月28日 (火) 18時34分

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