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2007年1月17日 (水)

ルソーが楽しませてくれた1時間

愛知県美術館で開催中の「ルソーの見た夢、ルソーに見る夢」を見てきた。
世田谷美術館開館20周年記念の企画のようで、東京では既に終了、その後に名古屋に周ってきたものでした。
NHKが主催者になっていることもあり、テレビでも紹介され、どんな展覧会かは承知されている方も多いと思うが、ルソーの絵自体は日本国内に存在するものが中心に集められていて、それに加えて、ルソーの影響を受けた内外の画家たちの作品も同時に展示されると言うものです。何故こんな形になったかと言うと、同時期に、大々的なルソーの展覧会がロンドン、パリ、ワシントンを周って開催中で、著名な作品は全部そちらに行ってしまっていたからのようだ。

しかしながら、この企画は成功していると思う。ルソーだけでなく、ルソーの影響を受けた作品を多く展示することで、ルソーの特徴・独創性が何処にあるかが、私のようなごく平均的な美術鑑賞者をも何となく分かった気にしてくれるのです。

一見稚拙にも見える表現から来る素朴な味わい...ここではフランスの素朴派と呼ばれた作家たちの絵を並べることで、ルソーの特徴の一つを明確にする。まったく知らない画家達だったが、印象に残る絵も多かった。
一方、今回の展覧会の眼目であったと思われるのは、ルソーに影響された日本人画家達の作品の展示であろう。わが国において、ルソーの影響がこんなにも大きかったことに驚きました。藤田嗣治、坂東敏雄、上山二郎、松本俊介...等の洋画家は勿論、日本画家も少なからず影響を受けた。積極的にルソーの画風を取り込んだ人も居れば、知らず内に作品に反映されている場合もあるようだ。大きな風景の中に極端に小さな人間を配する構成...静謐感漂う風景画。逆に小さく描かれた風景の中に巨人のように立つ人物...肖像画。
また、絵画のほかに、写真も展示されていて、いわゆる「芸術写真(大正末期~昭和初期)」においても、ルソーを意識した作品が多く作られたことを知った。絵画的な写真作りとはどういうものか、初めて実物を見ることが出来とても興味深かった。

さらに、日本の現代の作家も大きな影響を受けている。嬉しかったのは横尾忠則のルソー・シリーズの絵が5点展示されていたことだ。
例の「アンリ・ルソー《眠るジプシー》より」は、やはり凄い。解説書によると、このようなエログロへの転換は、単に横尾のイマジネーションが作り出したものと言うより、ルソーの異常性を、素朴の中に潜むこうした不穏な感情を、明らかにしたもので、横尾の鋭さに驚かされる、とあった。誠に納得。
同じく横尾の「アンリ・ルソー《フットボールをする人々》より」はドキッとするが、思わず笑ってしまう。まったく横尾も天才ですね。
その他の画家では、有本利夫の「一人の夜」など、演劇的ないし虚構的背景にたたずむ女性を描いた絵がとても印象に残った。
会場の出口付近には、青木世一のROUSSEAU-KIT「フットボールをする人々」も展示されていて、最後までとても楽しいひと時を過ごすことが出来ました。

Photo_134 アンリ・ルソー「サン・ニコラ河岸から見たサン・ルイ島」
今回のルソー自身の絵の中ではこれが好きだ。
ルーブル美術館の裏のセーヌ川北岸から、シテ島の方を見た風景。
右側の尖塔はノートルダム寺院とサント・シャペルだそうだ。


Photo_135 フランス素朴派の一人、カミーュ・ボンボワの「活気のある風景」
右側にサーカス小屋があり、活気を象徴している。






Photo_141Photo_136 左はアンリ・ルソー「私自身、肖像=風景」
(今回出品なし)
右は松本俊介「立てる像」






Photo_137 横尾忠則「アンリ・ルソー《眠るジプシー》より」




Photo_144Photo_138 左端はアンリ・ルソーの原画「フットボールをする人々」(今回出品なし)
右は横尾忠則「アンリ・ルソー《フットボールをする人々》より」 





Photo_143青木世一「ROUSSEAU-KIT《フットボールをする人々》」
三次元の二次元化である絵画を、再び三次元に戻すことで生まれるギャップが面白い。実物は巨大で、作品空間への参加を誘う狙いもある。

Photo_139
有本利夫「一人の夜」

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