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2007年2月18日 (日)

「見立て三酸図」...美人画ですよ

前回の続き。
講演で取り上げられた鳥文斎栄之の浮世絵「見立て三酸図」について、解説してみよう。

先ず、水墨画の世界には古くから、「三酸図」という良く知られたテーマがある。3人の聖人が桃花酸をなめて眉をひそめる図である。聖人として、儒の蘇軾、道教の黄庭堅、僧の仏印が描かれる場合と、孔子、老子、釈尊が描かれる場合があるようだ。
どういう意味があるか?以下はあるホームページから引用させてもらった。
『三人の聖人、すなわち釈迦と孔子と老子が、缸に入った酢の味見をしている画で、釈迦はそれを「苦い」と言い、孔子は「酸っぱい」と言い、老子は「甘い」と言うのです。それぞれの聖人の人生観を酢の味に喩えているのですが、この世を苦しみに満ちた世界と観る釈迦、神や死後を説かなかった実際的な孔子、自然に則った耽美主義的な老子、とそれらは解釈されています。体調によって酢の味が変わることがあるように、この喩えはとても面白いものだと思います。中でも老子の人生観は藝術的で、文人の生き方に適ったものでありましょう。この世を甘美で幸福に満ちた場所と肯定的に捉え、長寿を全うし人生を享楽して行こうという姿勢です。』

次に「見立て」である。江戸時代の芸術創作上の趣向のひとつである。江戸文芸全般に及んでいるが、とりわけ歌舞伎にはこの手法がよく用いられる(説明省略)。
浮世絵における「見立て」の意味は、歴史上の人物など、周知の姿の特徴を、そのまま当代の美人や若衆などに置き換えて描く手法である。歌舞伎の有名な場面を見立てた浮世絵も多い。(なお、役者が実際には上演していない役を上演したものに見立てて,その似顔を用いて描く手法もある...空想舞台の趣向)

さて、本題の鳥文斎栄之の浮世絵「見立て三酸図」である。
美人画絵師栄之の真骨頂。この絵には、楊貴妃、小野小町、当代美人(花魁)の3人が登場する。そして、3聖人よろしく桃花酸をなめるのである。天下の美女にすっぱい顔をさせて、楽しむ趣向だが、バックグラウンドに周知の3聖人の崇高な姿が重なり、さらに面白味が増すというわけである。この絵では勿論、当代美人が最も美しく描かれ、着物も豪華(牡丹の絵柄)である。
この絵が載っている本を探してみたけれど見つからなかった。しかし、下記ブログに載っていますので、ご覧になってください。
http://d.hatena.ne.jp/eco1/searchdiary?word=*%5BArt%5D

・・・・・・・・・・・

講演では、昨年開催されたボストン美術館所蔵の浮世絵による展覧会「江戸の誘惑」に展示された浮世絵の中に描かれた植物がとりあげられた。
重要な道具立てとして、背景として、あるいは着物の柄として実に多くの花、草、木が描かれているのです。
講演ではたくさんの浮世絵をスライドで写し、絵の意味と描かれている植物が何かを克明に解説して頂いた。本題は植物のはずですが、結果として浮世絵鑑賞会の趣で、私にとっては浮世絵再発見の機会になりました。講師に感謝したい。

S_37 ある椿展の逸品です。

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