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2007年3月18日 (日)

国立新美術館でポンピドー・センターの所蔵品を見る

国立新美術館は黒川紀章の設計ということで建物自体にとても興味があったし、皮切りのイベントがポンピドー・センターの所蔵品の展示ということで、これは是非とも行かなければと思っていた。
パリへは二度、合わせて8泊し、ルーブル、オルセー、オランジェリー、マルモッタン、中世、ピカソ、モローなど、かなりの美術館を訪れていたが、ポンピドー・センターが抜け落ちていた。同センターは国立近代美術館を擁し、フランスが所有する近・現代美術が数多く所蔵されているが、今回の企画は、「異邦人たちのパリ1900-2005」のタイトルに示されるように、パリに住んだ外国人アーティストの作品を抽出し、展示するものであった。
1900年代初頭のものではモディリアーニの「デディーの肖像」やシャガールの「エッフェル塔の新郎新婦」が良かった。画集で見慣れている画家のものはすっと入れるということもある。しかし画集で見るのと実物とでは印象が随分違う。
展示はほぼ年代順になっており、現代アートに繋がって行くのだが、その推移が一望できるのが今回の企画の特徴でしょう。カンディンスキーやミロも素敵な絵があった。このあたりまでは私も問題無くついて行けるが、それ以降のものはこれまでしっかり見たことは無かったから、新たな体験ないし発見の趣きだった。ポンピドーセンターの真骨頂はむしろ新しいものにあるのだから、そちらをしっかり見るべきだろう。そうは言っても抽象的なものが多いから簡単に理解ができない。そんな中でも印象に残ったものを数点あげてみよう。

先ず、二コラ・ド・スタールの「シドニー・ベシエの思い出」。「コンポジション」もあったが、ぱっと目に入ったのはジャズ・ミュージシャンのプレーする姿だった。そしてその美しい色彩。これを見ていると、同行してくれた友人がド・スタールについて解説してくれた。自殺してしまったことも。なおさらこの絵が脳裏に焼きついてしまった。
帰宅後、ネットで調べてみると最後の未完成の絵も「コンサート」という音楽に関わる絵だったことが分かった。
シドニー・ベシエ(Sidney Bechet)はソプラノ・サックス奏者だが、「可愛い花」の作曲でも有名だ。音楽好きの私としては何とも素敵な絵を見つけたのでした。
さらに、ド・スタールの絵が地元の愛知県に3枚もあることが分かった!
●メナード美術館 (愛知県小牧市)
黄色い背景の静物 1953 黄色い瓶の中の花 1954
●愛知県美術館
コンポジション 1948
Photo_179   
二コラ・ド・スタールの「シドニー・ベシエの思い出」







Photo_172
二コラ・ド・スタールの未完成作品「コンサート」
(これは今回の展示にはありません)


絵画でもう一つ挙げるなら、ヴィクトール・ヴァザルリの「夢/Vボグラー」。この絵は理解しようと努力する必要はないと感じた。ただただ、美しいし、眼の錯覚効果で凹凸が見えたりするのが楽しい。○と□だけで構成されているにもかかわらず、色彩の使い方でこんな効果が生まれようだ。土産ショップにこの絵をあしらったペーパーホルダーがあったので購入した。
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ヴィクトール・ヴァザルリの「夢」



他にも面白い絵が幾つかあった。例えば、エロ(アイスランド人)の「サン・マルコの毛沢東」。これは、ベニスのサンマルコ広場に何故か毛沢東が現れると言う奇想天外なもの。
更には、ポップアートにも面白いものがあった。
絵画以外ではジャコメッティの特徴ある彫刻が数点あったし、写真も見るべきものが多数あった。
マン・レイの有名なファッション写真「黒と白」を実際に見ることが出来て良かった。ただ、写真は小さいし、色彩が無いこともあり、絵画と一緒に並べるとどうしても見劣りするように思ったが、いかがなものか。

そんな中で、ひときわ大きな、素晴らしい写真があった。オノデラユキの「古着のポートレート」。パリの曇に満ちた空を背景に画面いっぱいに1枚の古着が浮かんでいる。52点の連作のうちのひとつである。
オーディオガイドの説明を聴くと...この古着は、1993年に開催されたボルタンスキーの「離散 / dispersion」 でインスタレーションに使われたもので、世界中から集められた古着を会場に山のように積み上げて、当時10フラン払えば幾らでも持ち帰ってよいということだった。それを使ってこの写真を撮ったと言う。
ボルタンスキーの古着の山はナチの大虐殺をイメージするものなのです。そういう解説を聞きながら写真を見ていると、格別の味わいがあります。
Photo_180
オノデラユキ「古着のポートレートNo.1」





きりが無いのでこれくらいにしておこう。

黒川紀章の建築はこうした現代的な作品の展示にはピッタリのようです。建物の写真も合わせて掲げておきましょう。
Photo_173
国立新美術館の外観
ガラスで覆われた外面はゆるやかに湾曲していて美しい。
この日は曇りで空の色が冴えない。

Photo_174
内部のロビー...大型の水力発電所と見紛う
逆円錐の上は喫茶「VOGUE」
ここのコーヒーと菓子は美味しい。

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