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2007年9月14日 (金)

「アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶」を見て

WOWOWで「アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶」が放映された。
93歳のアンリ・カルチェ=ブレッソン(以下、ブレッソンと略す)が自身の半生と作品について、淡々と語った映像である。彼が親しくつきあった劇作家アーサー・ミラーや写真家、女優達が貴重な証言を行っている。
先頃、東京で行われた展覧会「アンリ・カルティエ=ブレッソン 知られざる全貌」を見ることが出来ず、残念に思っていたが(8月19日付け記事参照)、このドキュメンタリーではブレッソンの多くの作品の鮮明な画像が見られ、とても嬉しかった。
42インチの薄型TVの画面いっぱいに作品が写り、ブレッソン本人がその一枚一枚にまつわる思い出を語る...贅沢このうえない!

たとえば、「ベルリンの壁、西ドイツ、1962年」。3人の男達が高い台の上に並んで壁の向こうを眺めている...
女優のイザベル・ユペール曰く、「台座に乗ってる写真はおかしげな風刺がある。彼の写真の特徴でもある」
しかし、ブレッソンは説明する。『彼らは建物の窓を見ている。両親が合図を送るからだ』
その言葉で、この写真が私にとって一層、感銘の深いものになった。
Photo




このドキュメンタリーは、ブレッソンが1枚の写真を示して、「これだ...人の配列が楽しい...完璧な構図だ」と述べるところから始まる。
そして、エンディングでのブレッソンの言は、バーンと、銃で撃つ真似をして、「一瞬で決まる!」である。
(本編でも、しかるべき配列と構図こそ最も大切なもので、感情はおのずと現れてくる、と述べている)
ブレッソンの信念であり、写真家魂である。

このドキュメンタリーで述べられていることは、我々が写真を撮ったり見たりする上でもとても参考になるものだと思う。しかし、事細かにここに示すのもどうかと思うので、私が特に印象深かった、いくつかの証言を掲げるにとどめよう。

〈写真家フェルディナンド・シアナ〉
『「目と頭と心の照準を合わせて写真を撮れ」と、ブレッソンは言った。私は自分や同僚の写真をこの基準で判断している。
彼の写真の中でも、目だけを使って形にこだわったものは、コンセプチュアル・アートのようだし、感情が入りすぎると、政治色がより強く主張される写真になる。
美しさと形式ばかりに凝ると、彼の言葉で言えばパターンになってしまう。
だからこそ彼の言葉がバランスのとれた写真かを判断する手段となりうるのだ。』

〈女優イザベル・ユペール〉
『写真って不思議。人と事物の間にある奥深くて謎めいた関係を瞬時に捉え、人々の人生まで想像させる。被写体になった人物の過去も未来も1枚に収めてしまう。』

〈写真家エリオット・アウィット〉
『ブレッソンのこの写真を見てすべきことが分かった。モデルなど手を加えなくとも観察力だけでいい写真がとれる...そして思った...知識が多いからと言って写真家になれるわけではない。必要なのは「見る」ことだ、と。』

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