夏は陶枕...それも美人枕がいい
今回のシルクロードの旅行中に、2点の人型の〝陶枕〟の写真が撮ってあった。
一つはカシュガルのバザールで見つけたもので、高級なアクセサリーを扱う店のショーケースの上に置いてあった。人の形に造られているのが面白く、いやでも目につく。白地に紺色での描写はシンプルですっきりしている。かたどられた人物はとてもリアルで、ハンサム(男だと思うが?)だ。
もう一つは、西安の陝西省歴史博物館で見つけたもの。〝白釉黒花臥美人枕〟と銘打たれている。文字通り、かたどられた人物は、たおやかにうつ臥した女性だ。誘うような目つきが印象的だ。
〝陶枕(とうちん)〟は、陶で造られた枕で、そのひんやりとした冷涼感が特に暑い地域で好まれて、中国では唐の時代から造られていて、まさに実用品だった。基本形は長さ20~30cmの直方体で、内側が空洞になっている。
さらに、「不老長寿の枕」「良い夢を見る枕」などと、上流階級の人々はこれに思いを込め、もてはやすようになり、美人枕のように凝ったものが造られるようになったようだ。
日本でも、江戸期には伊万里で造られたりしたが、あまり普及せず少数が残っているのみ。後年、瀬戸や有田などで再び焼かれるようになり、特に昭和初期に大流行したことがあるという。だから、寺や古い家には今でも残っていることがある。私もおぼろげだが、子供の頃、見た記憶がある。
ネットに面白い記事があった。
...ある寺で、お盆前に庫裡の裏の物置部屋を掃除すると、なんと陶枕が5個も出てきた。大正か昭和初期のガラクタだと、住職。しかし、面白いことがあるよ、と言う。その内の一つの枕の空洞の中に、なんと芸者らしき女のプロマイドが詰めてあった...
要約するとこんな内容だが、原文はとても味のある文章です(参照→こちら)。
西安の博物館の〝美人枕〟の制作にはどんな企図があったかは知らないが、良い夢を見るためとするなら、こんな形も当然ありで、ニーズがあったはずだ。
陶枕そのものはいまでも細々と造られているようで、その気になれば入手できそうだ。しかしこんな堅い枕で眠れるものか?まして良い夢など!
それでも、もやもやした頭を冷やす効果がどれくらいあるのか、是非試してみたいものだ。
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